ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜
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モッチダヨンジナ!復讐相手に最大の皮肉を送る主人公の姿が忘れられません…。
こんにちは、チョコプリンです。
今回レビューする『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』は、高校時代に受けた壮絶ないじめに対し十数年かけて復讐の舞台を整え、敵を破滅へと導いていく激重サスペンスです!
本当に久しぶりに一気見した韓国ドラマです。
パート1&2まとめて感想と気になった点を綴っていきますね~。
◆鑑賞のきっかけ◆
たまたま母親がグローリーを観ていて、興味が湧いたから。
作品情報
ソン・ヘギョ、イ・ドヒョンら豪華俳優陣が共演する緊迫のドラマ。キム・ウンスク、アン・ギルホ制作。 Netflix
(追記)百想芸術大賞 2023にて、作品賞、最優秀演技賞→ソン・ヘギョ、助演賞→イム・ジヨンで3冠しました〜!!!
データ
Netflixドラマ
原題 : 더 글로리 英題 : The Glory
年齢制限 : 18(青少年観覧不可等級)、16+(Netflix)
放送期間 : 2022年12月30日~2023年3月10日
製作国 : 韓国 話数 : 16 나무위키より
あらすじ
壮絶ないじめを経験した高校時代から十数年の時を経て、綿密に練った復讐(ふくしゅう)計画を実行に移し始めた女性。その目的は、自分をいたぶった者たちに、罪の代償を払わせること。 Netflix
登場人物(キャスト)
◇ムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)…主人公、いじめ被害者、小学校教師
◇パク・ヨンジン(イム・ジヨン)…いじめグループのリーダー、気象キャスター
◇チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)…ドンウンに協力するようになる、形成外科医
感想
当初は一切観る気がなく世界で話題になっても食指が動きませんでしたが、
偶然観るきっかけがあって物の見事にハマってしまいました。
あまりにも過去のいじめ描写が観たくなくて6話から一気に15話まで見たんですが、不明点があるのが許せず結局1話から観直しました…笑
「興味がなくても一度観てしまったら驚くほど吸引力がある」って、韓国ドラマあるあるなんですかね。
そもそも鑑賞するつもりが無かった理由は、私自身が学生時代にいじめを受けていたからです。
といっても、主人公のような暴行は受けてませんし程度で言うと月とすっぽんなんですが、少なからず共感できる内容だったので、
被害者側の視点からこの作品の魅力&気になったところを見ていけたらな~と思います。
復讐はダメなもの?
まず、復讐ってどうなの?というテーマがありますよね。
人や宗教によっては赦すことで自分自身も救われるといった考え方が「教え」としてあると思います。実際に宗教を扱った作品をみていると、大切な人の命を奪われたのに犯人を赦す家族という場面を何回か見たことがあります。
これについて負の感情は精神的にダメージが大きいので、心の救済としてはある程度理解できます。憎んだり復讐に費やした時間も戻っては来ないですよね。
ただ、私の場合は、時間が経って怒りや憎しみの感情はなく“無”なんですけど、当時のいじめっ子たちを許すことはないし、幸せになってほしいとも一切思っていません。
復讐することでしか得られないものも存在します。
このドラマはそういった復讐で得られるもの失うものについて触れていたのが良かったです。
主人公を大切に想う先輩(ヨジョン)が復讐を止めない理由…、私には響きました。
現実的には正攻法のルートで告発する手も考えられますが、“いじめ”の悪質さ、加害者側の権力と富、主人公の四面楚歌の状態では、「使えるものは使う」のが当然っちゃ当然かもしれません。
波紋のような戦略とカタルシス
過去の“いじめ”について、
日本語の「いじめ」という曖昧な表現では想像できないほど壮絶です。韓国では「学校暴力(학교폭력)」と言うことが多く、主人公ドンウンが高校時代に受けたいじめはまさに「暴力・犯罪」に相応しい内容で、その加害者たちは清々しいほどにクズです。
殴る蹴るは当たり前、性的からかい、極めつけは実際の事件をモチーフにしたと言われているアレを使った暴力まであり、拷問レベル…。見てるだけのこっちまで痛く感じて正直かなりしんどい…。(韓国ノワールとはまた違うしんどさです)
それに加えて、加害者グループは5人中3人が金持ちで警察のコネも持ってます。
頼りになるはずの母親も問題を抱え、建築家の夢も奪われ、何も残っていません。
絶望のまま命を絶つことも考えた彼女を繋ぎとめたのは、悪人たちへの復讐であり、それが生きる理由、新しい“夢”になりました。
十数年かけて練られた計画は、高卒認定・大学進学・教員免許取得・小学校教師になる、囲碁を習得、半年かけてゴミ漁り、ある場所へ引っ越し、協力者を得る、あるネタから敵を取り込む等々、
血と汗の滲む努力と執念、そして持ち前の賢さによって進んでいきます。
地道に敵を知って取り込んでかき乱していくのですが、その戦略と周りの動きは見応えあり!です。一つの動きから広がる波紋のようで、それに呼応するメインキャラそれぞれの動きも気になって面白いです。
前半のスピード感も手伝って飽きさせない構成になっていると思います。
そんな風に、残酷で痛々しく目を背けたくなるほどなのに、復讐のために闇の中で鈍く光り続ける主人公の一挙一動から目を離せない。というのが、今作の一番の魅力だと思います。
1話でのいじめ描写だけでなく、度々描かれるフラッシュバック、胸糞悪い新情報など、視聴者に加害者側の所業を忘れさせないアラームが用意されているので、常に主人公に感情移入できるようになっています。
その状態で行われる復讐は私たちに深いカタルシスを与えてくれます。
カタルシスという言葉は、「心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること」を意味します。もともとは、アリストテレスが『詩学』に書き残した悲劇論から、「悲劇が観客の心に怖れと憐れみを呼び起こし感情を浄化する効果」をさす演劇学用語です。転じて、精神医療においては「抑圧されていた心理を意識化させ、鬱積(うっせき)した感情を除去することで症状を改善しようとする精神療法」をさします。さらに、一般化して、「心の中にあるわだかまりが何かのきっかけで一気に解消すること」をいいます。 三省堂WORD-WISE WEB
物語を彩る演技者たち
演技はソン・ヘギョを筆頭にキャストみんな上手くて感嘆…。
今までの作品と演じ方が全然違っていて、無彩色に見えるドンウンの感情をロボットにしすぎていないのが流石でした。
グローリーは個性溢れる悪役たちが印象的ですが、
特に、ヨンジン役のイム・ジヨンが凄すぎます。ちょっと子役の可愛い顔立ちよりはクール顔すぎるけど、パク・ヨンジンそのもの!
演技がうますぎてInstagramでグローリーいじりされているのが可哀想です…。性格悪そうとか、失礼な物言いもそう。
そのヨンジンの高校時代を演じたシン・イェウンの、“天使みたいな顔に悪魔の黒い瞳”もかなり印象的で、今でも思い出すと怖いです。
私は演技力はカリスマだ思っているので、悪役の女性陣みんな好きになりました!(Instagramフォローはもちろん、ヘジョン役のチャ・ジュヨンがゲストで出ていた、『全知的おせっかい視点』のクリップまで見ました。笑)
悪役以外だと、えげつないDVを受けながらもユーモラスで娘想いなヒョンナムを演じ切った、ヨム・ヘランにも拍手です。
たまにあるちょっとしたコミカルシーンが癒し〜。
鑑賞中驚いたのが、『脱出おひとり島/ソロ地獄』に出演していたソイが出てきたこと!
ソロ地獄を見ていたときも発声や雰囲気がドラマの主人公タイプだな~と思っていましたが、思った通り短い出演時間でも悲壮感のある演技で良かったです。
あとは、人物描写で言うと、泣いたり動揺したり吐いたり怒鳴ったり、あと先輩といるときの表情だったり、ドンウンの感情を蔑ろにしないところが感情移入しやすいポイントかなと思います。
鉄の女に見えてもギリギリのラインで立っている「一人の女性」であることを丁寧に描いています。
非現実的なあれこれ
すごい勢いで鑑賞しましたが、気になった箇所もいくつかあります。
・割と事情を話すのが早い
・敵が思ったよりも仕掛けてこない
・性的な演出の必要性について(←これが結構もやもやしました)
・ドンウンと先輩の実年齢差
・諸々タイミングだったり都合が良い、ヨジョンの存在の大きさも
etc...
まとめ(+溜まったストレスと恋愛要素について)
非現実的な事の運びだったり演出面で引っかかることはありますが、感情移入できたし面白かったです。
この作品は、現実的に考えると復讐ファンタジーです。
それでも、人の人生を破壊すること、相手に対しどれほど苛烈な思いを抱いているかを訴えるメッセージ性がありますし、
何よりいじめという暴力に目を向ける人が増える良い機会になっていると思います。
実際に韓国のYouTubeなどのコンテンツでもいじめを扱ったものが増えてますね。
ヘビーな内容でストレスは溜まりますが、
何かしらの加害を受けた人なら代理的に欲求が満たされるような、良い意味でカラッとしてない執念の勧善懲悪が胸に沁みます。
ただ、終盤の展開については、主人公の行動範囲外のカタルシスと言う点で、納得できない部分もありました。
なので100%すっきり爽快ではありませんが、全体的には観て良かったと思える作品でした!
◆溜まったストレス解消できるか→80〜90%できる(人によってはほぼ出来そう)
◆恋愛要素はあるか→あるけど控えめ、微笑ましい程度
満足度
★4 /5点満点中