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HSP気質の会社員 "チョコプリン"による映画&ドラマ感想ブログ

Netflix韓国ドラマ『今日もあなたに太陽を』感想 | “正常”とは?現代社会で苦しむ私たちが観るべき作品です。【微ネタバレ】

今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー

(C)2023 今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー Netflix.All Rights Reserved.

今、心の疲れを感じるor過去に感じたことがある人はもちろん、精神科と聞くと一歩引いてしまう人にも観てほしい…!

こんにちは、チョコプリンです。 

今回レビューする『今日もあなたに太陽を』は、精神科に異動になった主人公が戸惑いながらも心の病気や人と向き合っていく様子を描いた医療ヒューマンドラマです。韓ドラ好きの中でも評価が高そうだったので、鑑賞してみました。
それでは、感想と気になった点をまとめていきますね〜。

◆鑑賞のきっかけ◆
メンタルヘルスというテーマに以前から興味があったから。

作品情報

イ・ナムギュ (「ヒップタッチの女王」「まぶしくて -私たちの輝く時間-」) が脚本、イ・ジェギュ (「今、私たちの学校は...」「完璧な他人」) が監督を務める本シリーズには、ヨン・ウジン、チャン・ドンユン、イ・ジョンウンも出演します。 Netflix

データ

Netflixドラマ
原題 : 정신병동에도 아침이 와요 英題 : Daily Dose of Sunshine 
年齢制限 : 15(15歳以上観覧可)、16+(Netflix)
配信日 : 2023年11月3日
製作国 : 韓国 話数 : 12 나무위키より

あらすじ

病院内で最初に朝日が差し込む精神科病棟に配属された、心優しい若き看護師ダウン (パク・ボヨン) の奮闘を描く、心温まるシリーズです。 社会不安障害双極性障害、妄想性障害などの心の病に直面する患者たちとの出会いを通して、彼女は複雑な領域や一人ひとりが抱える困難に、思いやりを持って向き合っていきます。 Netflix

登場人物(キャスト)

◇チョン・ダウン(パク・ボヨン)…内科から精神科に異動することになった看護師
◇トン・ゴユン(ヨン・ウジン)…同病院の肛門科医師
◇ソン・ユチャン(チャン・ドンユン)…ダウンの幼い頃からの親友

感想

まず、鑑賞前からジャケット写真が気に入りました。精神科と言うと閉鎖的で色味のないイメージを持っていましたが、それを払拭するような明るいカラーと温かみのある雰囲気で、ドラマの内容ともすごくマッチしています。

実際のドラマは、扱うテーマもあって辛い描写も当然あるんですが、シリアスさだけではなく、ベースに温かさが感じられるタッチで好印象でした。

また、主人公の描かれ方が今まで見た医療ドラマとは一味違っているなと感じたので、その辺のことも触れようと思います~。

苦しさと優しさのバランス

この作品は、精神科に異動した看護師が患者と向き合いながら自身の内面も見つめていく物語です。

最初に、上記で明るく温かいと表現したことについて、公式では「ダウン (パク・ボヨン) の奮闘を描く、心温まるシリーズ」と紹介されています。他のサイトでも、誰もが楽しめる明るく感動的な内容だとされていました。
ここで、「じゃあ、このドラマはメンタルヘルスがテーマでも気軽に観られるんだ♪」と受け取る人もいると思うんですが、そこには少し注意が必要だな感じました。

私自身も、鑑賞後は、「全体的にはその紹介で合っているけれど感情のバランスは全然違う」という印象を受けました。
結論から言うと、心身ともに疲れすぎている状態やトラウマがある場合は視聴をスルーしてもいいかもしれません(※自死自傷の場面あり)。余裕があるときに観ることで、作中のメッセージをより素直に受け取りやすくなるはずです。自分のタイミングで鑑賞しましょう。

夜の部分

具体的には、精神疾患の描写・演出についてです。
最初は患者目線の症状演出がかなりファンタジーで驚きました。CGがゲームチックで、第1話もちょっと長いかな〜と思うくらいだったんですが、
見進めるうちに慣れたのか、疾患による苦しみがしっかりイメージ化されているようで、逆にリアルに感じるようになりました。
特に会社員として過ごす日々のストレスや周りからのプレッシャー、視線が心にまとわりつく重さがしっかり再現されています。私自身も新卒時代を思い返したり、自分のHSPの特性と照らし合わせると、当てはまることが多かったので、案外的確かもしれません。

また、患者以外でも、登場人物それぞれの家庭事情や寄り添う側の心情にもフォーカスしている点が良かったです。

朝の部分

そうやって良くできている分、 毎話観ると辛くなります。割合としては苦しさ>楽しさなんですが、それでも見てられるのは、ちょっとしたユーモアや優しさ、温かさがあるからです。
例えば、主人公の職場の仲間や母親、幼馴染など、周りが温かい人が多く、男女問わず控えめにサポートし合っていて、アットホームさが感じられます。男性陣については苦手意識があったものの(主に恋愛面で)、みんな優しくて良い人たちなのは伝わりました。

精神病棟では比喩的にも朝と夜を繰り返すわけですが、そのテーマとメッセージを上手く伝えてくれたのが、役者の演技力です。苦しいときも慰められるときも説得力がありました。何回も涙が出そうに。
個人的には、実習生役のユ・インスの演技が好きですね。『今、私たちの学校は…』の不良ゾンビとはまた違って、悩みを抱え込む役どころにグッときました。
幼馴染役のチャン・ドンユンも良かったです。

ちょっと思うこと

一番気になったのが、恋愛の蛇足感です。
主人公の後輩ドゥルレに思いを寄せる精神科医のヨファンは、明らかに悪い人ではないもののアプローチがしつこいし、肛門科医師のゴユンも性格がちょっと不思議系すぎます…。唯一幼馴染のユチャンとダウンの関係性は絆があって素敵でした。
全体的にタイミングややり方に問題を感じて、誰と付き合うかといった恋愛模様がしっくりきません。

あとは、タイトルは元のままがいいと思います。韓国語では『정신병동에도 아침이 와요』=『精神病棟にも朝が来ます』、こっちの方が作品のカラーが出ていて好きです。

まとめ(微ネタバレ有)

冒頭で、主人公の描かれ方が今まで見た医療ドラマとは少し違っていると書きました。中盤で心を通わせていた患者が自死したことで、ダウンはPTSDによる乖離症状とうつ病を発症し、保護入院することになります。そこからは、患者だけでなく自分の内面とも向き合っていきます。

明るく応援する側だけじゃないのが今作の肝だと感じました。丁寧に描かれている中で、印象的なのが一つ一つの「言葉」ですね。本当に名言が多いです。
ゴユンがダウンの母親にしたアドバイスが良かったです。「 周りは相槌程度で大切なのは根気強く信じて応援し寄り添うこと」、相手を心配してする言動が逆に追い詰めることもあるので、勉強にもなりました。

そして、ラストに出てきた「 正常と非正常の境界線を生きている」というワード。これは、だからみんな違ってみんな良いではなく、その中で適切な向き合い方があるはず…という意味合いだと私は受け取りました。

『今日もあなたに太陽を』は、正常と非正常の境界線を生きている私たちに向けて、言葉の紡ぎ方が心に響いて涙を誘うドラマでした。
『今、私たちの学校は…』と監督が同じなだけあって、こちらも段々と好きになるタイプの作品でしたね。

登場人物の中では、 私は精神科のショートヘアの先生が好きです。ドライに見えて意外にシニカルな優しさがあって、医者としても優秀という魅力的なキャラです。

満足度

★4 /5点満点中

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