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HSP気質の会社員 "チョコプリン"による映画&ドラマ感想ブログ

映画『カモン カモン』感想&ネタバレ もどかしさが醍醐味?なセラピー仕立てです。

カモン カモン


カモン カモン[DVD]

 

こんにちは、チョコプリンです。 

 

今回レビューする『カモン カモン』は、モノクロとインタビュー映像が印象的な伯父と甥の対話の物語です。

 

GWに何の映画を観るか決める際に、こちらの作品はモノクロということで食わず嫌いしていたんですが、候補の『コーダ あいのうた』が上映終了していたので、消去法で観ることになりました。

 

結果的には観て良かった映画です!

 

作品情報

『ジョーカー』で第92回アカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスが、『20センチュリー・ウーマン』などのマイク・ミルズ監督とタッグを組むドラマ映画。フェニックス演じるラジオジャーナリストのジョニーと、ウディ・ノーマン演じる甥が紡ぐ絆の物語が描かれる。『ボルケーノ』のギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイトが共演。 MOVIE WALKER

 

データ

原題 : C'mon C'mon

製作年 : 2021   映倫区分 : G

製作国 : アメリカ 上映時間 : 108分 MOVIE WALKER

 

あらすじ

ニューヨークでラジオジャーナリストとして暮らす独身のジョニーは、妹から頼まれ9歳の甥ジェシーの世話をすることに。ロサンゼルスの妹の家で数日間の共同生活が始まると、ジョニーはぎこちない兄妹関係や独身の理由などをジェシーからストレートに投げかけられ当惑。しかし、ジョニーの仕事や録音機材をきっかけに2人は距離を縮めていき、やがてニューヨークに帰ることになったジョニーは、ジェシーを連れていくことを決心する。 MOVIE WALKER

 

登場人物(キャスト)

◇ジョニー(ホアキン・フェニックス)…主人公

 

ジェシー(ウディ・ノーマン)…ヴィヴの息子、ジョニーの甥

 

◇ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)…ジョニーの妹

 

感想

観てまず思ったのが、観る立場によって結構受け取り方が違ってきそうだなあってことですね。

子育てをしてる人、してない人、子供が身近じゃない人、コミュニケーションが得意不得意な人…等々。

私自身は子供とあまり関わらない環境かつコミュニケーションが苦手なタイプなので、そういった側からの視点で感想を書いていきますね。

 

対話の難しさをストレートに描く

突然9歳の甥と一緒に生活をすることになった訳なので、当然お互いのことをあまり知らない状態から始まります。

ジェシー自身のこだわりであったり、母親とのルーティン一つ一つが、主人公ジョニーにとっては不可思議な言動で困惑の日々です。

 

正直に言うと、子供のこういうところ嫌やなーと見ていてイライラしました(笑)

母親ヴィブの言う通り“愛してるけどゾッとする”という言葉が真理だと思います…。逆に“ゾッとするけど愛してる”も矛盾なく想像できました。

自分の子供だからといって100%は理解出来ないし、何を考えているか分からず、得体の知れないような存在に感じることもある。一方で、その存在に救われて幸せを感じることもある。

 

この作品はそういった表現がすごくリアルで、視聴者からするとイライラするもどかしい場面も、臆することなくストレートに描いているのが良かったです。ネガティブな感情を丁寧に見せることでその後の動きがより伝わりますし。

 

もどかしさがこの作品の醍醐味なのかなと、全体を通して見るとそう感じました。

 

 

最近だと同じようなテーマで、『ドライブ・マイ・カー』が思い浮かびました。

『ドライブ・マイ・カー』は“他人の心は覗けない、まずは自分の心と向き合おう”、

こちらは“他人と分かり合うのは難しい、だからこそ時間をかけて相手と向き合おう”

どちらも大切なことを提示してくれています。

 

相互に作用する大人と子供

身体的に見ると、当たり前にジョニーは大人でジェシーは子供なんですけど、マインド的なところでお互いが大人⇄子供の面がありました。

 

例えば、ジョニーが妹と本音で話し合わないこと、大切な人がいたのに独身でいること、子供だからと表面的な会話をすること。素直になれない大人に対して、ジェシーは鋭い指摘で質問攻めにします。

また、自分の母親が嘘をついていそうなことや、父親の状態のことで不安を覚えていたりと、周りをよく見ていているし、大人びたところがあります。

 

そんなジェシーですが、一方で、我儘な子供にしか見えないような危なっかしい言動もしています。これは、相手がどこまで自分に向き合ってくれるか“試す”行動で、感情をうまく説明出来ない子供が取れる最大限の自己表現のように感じました。

その度に、主人公はよく頑張っていたと思います。私なら序盤で放り出したくなるのに…。

 

そうやってお互いが影響し合って関係性が段々出来ていきます。

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ドキュメンタリー風セラピー仕立て(ネタバレ有)

全体的に哲学的な要素があって、本の引用が所々されていたりと、登場人物みんな頭が良いんですよね。出てくる本についての知識があるとより面白そうです。

すごく好みのスタイルという訳ではなかったですが、ラストからエンドロールはエモーショナルになりました!

お別れの前に、“大丈夫じゃなくても大丈夫だ”と叫んでぶつかりあったり、録音のマイクを通してお互いの思いを伝えるんですよね。

 

タイトルのカモンカモンの意味がじんわ〜り沁みます。これから先の未来、何が起こるかなんて分からない。だからこそ前へ先へ進むしかない。それを未来を担うジェシーが言うのに意味がありますよね。

エンドロールのインタビューも合わさってほろ苦さと共に未来への希望を感じました。

 

また、この映画は録音機材や海、街中の喧騒を活かした“声”や“音”の伝わりも良くて、映画館で観たことでより楽しめました。

 

哲学的なこと、対話が中心なこと、リアルなインタビュー映像が程よくMIXされてドキュメンタリーに近い印象ですね。セラピーを受けているような感覚になりました。自分自身と相手と向き合うための練習です。

 

モノクロに関してはそこまで効果は分からなかったんですが、多少、話や音に集中し易かったかなとは思います。

 

まとめ

二人の関係構築をストレートに描いただけでなく、ちゃんと触れ合いによる温かさも感じられる作りでした。

大人と子供だけでなく、全ての人間関係においても言える内容でしたね。とりあえず年の離れた従兄弟で実践してみます~。

 

対話の難しさと苦しくても未来への希望を乗せたメッセージが伝わってくる作品です。

 

ブログを書くのにあたって、劇中のベスト引用を掲載してくれるサイトを見つけたので共有します。原文のまま映画の世界に浸れますね。

“Whatever you plan on happening, never happens. Stuff you would never think of happens. So you just have to, you have to come on. Come on, come on, come on, come on.”

 

 

満足度

4 /5点満点中

 

 

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